電験三種は難しいのか?
「電験三種の試験内容は難しい」
「高校や大学の電気科を卒業した人でないと簡単には合格できない」
このように思われてきたし、実際そうだった。
だが 2022年度から 試験が年2回 になり、また CBT が導入されたことにより状況は一変した。
試験問題自体の難しさは変わらないが 「過去問の使い回し」が行われるようになったことで、合格しやすい資格になっている。
・過去問と同じ問題が出題される
・過去問と同じ問題は出題されない
両者の違いは 天と地ほどの差がある
電験三種は易しくなったのか?
過去問と同じ問題が出題されるということは、
過去問さえ勉強していれば、高い確率で合格できる。
2022年度以前の試験では「新規の問題」しか出題されなかった。
新規の問題を解くためには、
参考書の内容をしっかりと理解して理屈を覚え、自分で問題を解く能力が必要とされた 。
それに比べて
2022年度以降の試験では、過去問と同じ問題が出題される。
なので、この問題を解くには「自分で問題を解く能力」は必要とされない。
繰り返し過去問を解いて、問題の解き方を覚える。
そうすれば、当然 同じ問題は解けるようになるだろう。
「新規の問題」を解くには、ある程度の能力が必要とされ、また頭の良さも必要とされる。
だが 過去問と同じ問題に正解することは、誰にでもできる。
過去問の勉強さえ、しっかりやっておけばいいのだから。
何年分の過去問を勉強するか
では、どれぐらいの年数の過去問を勉強すればいいのか?
「令和5年度下期」の試験問題を見ると、
2021年(令和3年) ~ 1995年(平成7年) までの問題が出題されている。
つまり、約30年前までの過去問の中から出題されている。
したがって、過去30年分の過去問を勉強しておけば、 ほぼ確実に合格できる。
とはいえ、「過去30年分の問題と解説」を入手することは難しい。
そこでお勧めなのは、
「誰でもわかる電験参考書研究会」から発売されている過去問題集になる。
電験参考書研究会では、直近 「過去11年分」の過去問題集 と、それ以前の 「過去14年分」の過去問題集 が発売されている。
両方を合わせれば 「過去25年分の問題と解説」が手に入る。
こちらの問題集の解説はとても分かりやすいので、電気が苦手な人でも理解しやすい。
まあ、 解説が詳しすぎてページ数がとても多いという面もあるが。
「過去問の勉強」の注意点
過去問を勉強する上で1つ覚えておいた方がいいことがある。
それは「前回の試験で出題された問題は、出題されない」ということだ 。
さすがに前回の試験で出題された問題は出題されない。
当然と言えば当然のことだが。
以上述べたことは、「筆記試験」について当てはまる。
「筆記試験の試験問題」は公開されているが、「CBT の試験問題」は公開されていないので、 CBT の内容については、言及することができない。
また、CBTを受験した人にも問題の内容を口外することを強く禁止しているため、CBTの試験問題に関する情報は出回らない。
ただし 「筆記試験」の過去問の使用率が 75~100% ということは、「CBT」 においてもほぼ同じだろうと推測できる。
過去問の使い回し率
では実際にどの程度 過去問が使い回しされているのか、「令和5年度下期」の試験問題を例に見てみよう
【理論】 令和5年度下期
18問中18問 ( 過去問使い回し率 100% )
|
出題元 |
|
出題元 |
問1 |
平成25年度 問1 |
問10 |
平成28年度 問10 |
問2 |
平成30年度 問1 |
問11 |
平成23年度 問12 |
問3 |
令和3年度 問3 |
問12 |
平成23年度 問12 |
問4 |
平成25年度 問4 |
問13 |
平成12年度 問7 |
問5 |
令和元年度 問6 |
問14 |
平成30年度 問14 |
問6 |
平成15年度 問5 |
問15 |
平成18年度 問15 |
問7 |
平成20年度 問6 |
問16 |
令和3年度 問16 |
問8 |
平成9年度 問8 |
問17 |
平成27年度 問16 |
問9 |
平成8年度 問11 |
問18 |
平成24年度 問18 |
【電力】 令和5年度下期
17問中13問 ( 過去問使い回し率 約 75% )
出題元 |
出題元 |
||
問1 |
平成24年度 問1 |
問10 |
新規 |
問2 |
平成27年度 問15(類題) |
問11 |
平成15年度 問18 |
問3 |
平成9年度 問2 |
問12 |
平成18年度 問14 |
問4 |
平成15年度 問4 |
問13 |
平成12年度 問10(類題) |
問5 |
令和3年度 問6 |
問14 |
平成18年度 問11 |
問6 |
平成29年度 問7 |
問15 |
平成14年度 問1(類題) |
問7 |
平成29年度 問13 |
問16 |
平成18年度 問17 |
問8 |
平成20年度 問9 |
問17 |
平成19年度 問17 |
問9 |
平成15年度 問9 |
|
|
【機械】 令和5年度下期
18問中15問 (過去問使い回し率 約 83% )
出題元 |
出題元 |
||
問1 |
令和元年度 問2 |
問10 |
平成29年度 問10 |
問2 |
新規 |
問11 |
平成25年度 問10 |
問3 |
令和元年度 問4 |
問12 |
平成29年度 問13 |
問4 |
新規 |
問13 |
平成7年度 問13 |
問5 |
新規 |
問14 |
平成12年度 問11 |
問6 |
平成13年度 問4 |
問15 |
平成16年度 問15 |
問7 |
令和元年度 問7 |
問16 |
平成30年度 問16 |
問8 |
平成9年度 問3 |
問17 |
平成30年度 問17 |
問9 |
平成28年度 問8 |
問18 |
平成20年度 問17 |
【法規】 令和5年度下期
13問中12問 (過去問使い回し率 約 92% )
|
出題元 |
出題元 |
|
問1 |
平成28年度 問10 |
問8 |
平成28年度 問9 |
問2 |
平成26年度 問4 |
問9 |
平成23年度 問9 |
問3 |
平成10年度 問2 |
問10 |
平成27年度 問10 |
問4 |
平成21年度 問6 |
問11 |
平成28年度 問13 |
問5 |
平成30年度 問3 |
問12 |
令和元年度 問12 |
問6 |
平成24年度 問7 |
問13 |
令和2年度 問11 |
問7 |
新規 |
|
|
このように、過去問の使い回し率は 75% ~ 100% であることがわかる。
試験が年2回 & CBTの開始 により、多くの問題を用意する必要があるため、過去問の使い回しが行われるようになったのだろう。
最も効率的な勉強方法
過去問の使用率が 75% ~ 100% という現状を踏まえると、
最も効率的な勉強方法は「解答の丸暗記」ではないだろうか ?
もちろん、この方法を勧めているわけではない。
もし 解答丸暗記で合格しても、電気的な知識は身についていないので、電気主任技術者に任命された際には 苦労することになる。
ただし、会社によっては電験三種取得で「資格手当」が付く会社もあるだろうから、「資格手当」目当てで取得したいという人にはお勧めかもしれない。
もし 解答の丸暗記で合格したとしても、合格後に勉強し直せば、知識は身につく。
逆に言うと、『試験で必要とされる知識』は実務には役に立たないものも多いので、その方が効率的かもしれない。
「解答の丸暗記」は、さすがに乱暴なやり方だが、
ひたすら過去問を繰り返し勉強すれば、解き方を覚える。
場合によっては、「解答」も覚えてしまうことがあるだろう。
その方法で、何ら問題はないと思う。
過去問の使用率が 75% ~ 100%、ということは、
新規の問題は25%以下しか出題されない ということだ。
試験の合格基準ラインは60%なので、新規の問題が解けなくても十分に合格はできる。
効率的に合格したい人は、新規の問題は捨てて、
過去問にだけフォーカスすれば十分ではないだろうか・・・?