電験参考書業界も最近では移り変わりが激しい。
新たに登場するテキストも増えてきているし、昔からあるテキストは改訂をして売り上げ維持のため努力をしている。
受験者にとって多くの参考書があるのは良いことだが、逆に言うと「どれを選べば良いのかわからない」という悩みも生まれる。
そこで私が実際に読み込んで、初心者 や 独学者に おすすめと思える参考書、また皆が気になる参考書を紹介してみようと思う。
目次
電験三種 参考書レビュー
では、いくつかの参考書についてレビューしてみる。
参考書選びに活用していただきたい。
誰でもわかる電験参考書シリーズ
お薦め度 ★★★★★★★★★★
色々な参考書を読み込んだ結果、この「誰でもわかる電験参考書シリーズ」が圧倒的にわかりやすい。
比較的最近出版されたもので、電気知識が乏しい者でも十分に理解できる内容になっている。
少々ページ数が多いがそれも解説が詳しいことの現われで、説明が少なくてわかりにくい参考書に比べれば、大いに評価できる。
誰でもわかるシリーズでは、電験の入門書である「電験超入門」も用意されているので、電気初心者はこれから始めれば、つまずくことなく勉強が進められるだろう。
また、数学が苦手な人に向けた「電験数学」もある、これも中学の数学から始まり、電験に必要な数学の知識は十分に盛り込まれている。
改訂も行われているようで、概ね 最新の試験問題に沿った内容が載せられている。
内容もほぼ全て網羅されているので、独学者にとって これ一冊(一種類)で十分と言える参考書だろう。
ただし「誰でもわかる電験参考書」は電子書籍なので、書店には売られていない。
インターネットで[おすすめの参考書]を検索せずに、いきなり書店に行って本を選ぶ人もいるだろうが、そのような人の目には触れることがない。
書籍化されれば更に多くの人が利用できると思うのだが。
みんなが欲しかった電験三種シリーズ
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
この参考書も比較的最近出版された参考書で、とてもわかりやすい。
実際、わかりやすいとの意見もよく耳にする。
図が多くカラフルで見やすい。なんといってもスペースが多く、ゆったりと作られている点が読みやすくて良い。
従来の参考書ではよくあることだが、図が少なくて細かい字でびっしりと説明が載せられているものもある。
このような構成では読む側もうんざりして、挫折してしまうことも多い。
文字が大きいことやスペースが多いなどの配慮により、勉強のやる気は変わってくるものだ。
みんなが欲しかったシリーズは、ボリュームがある。特に理論は800ページほどある。
しかし、前半は参考書、後半は問題集になっているので、参考書部分は400ぺージほどだ。そして、参考書と問題集はそれぞれ 切り離して使える作りになっている。
参考書部分は全体の半分しかないので、量的にはやや物足りない感がある。これ一冊で全ての範囲をカバーすることは難しいので、その部分は他の参考書で補完する必要があるかもしれない。
例題(主に過去問)が多く載せられている点は評価できる。
ただ、問題が多いのは良いのだが、ページ数の関係で途中式が省かれていることが多いので、その点は初心者にはわかりにくいかもしれない。
確認した時点では平成26年の問題まで載せられていたので、平成26年の問題まではカバーできているが、逆に言うとそれ以降の問題には対応していない。
だが、その点は今後の改訂で改善されるだろう。
過去問は過去問題集で学習する人がほとんどなので、問題集パートを減らして、その分参考書パートを増やしてもいいのではないかと思う。
みんなが欲しかったシリーズでも、電験の入門書である「電験三種 はじめの一歩」が用意されている。
ただ、この本は半分以上が算数・数学の説明で占められているので、数学が苦手な者が読む「電験数学参考書」という位置づけで使用するといいだろう。
おまけとして電験入門の内容も載っていると理解しておくのが良い。
徹底解説
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
昔からある電験参考書の中では、一番わかりやすい内容ではないだろうか。
大きく改訂はされていないが、もともとわかりやすいので、それほど内容を大きく変える必要もない。
賛否両論あるだろうが、徹底解説シリーズの中では「理論科目」の参考書が一番いい出来だと思う。
過不足なく、内容を網羅している。
徹底解説では、公式や用語などを覚えるのための「語呂合わせ」を載せている。
ゆるいイラストとともに語呂あわせが示されているが、個人的には好きだ。
ただ、徹底解説シリーズもそろそろ大きく改訂する時期がきているのではないかと思う。
なぜか、表紙のデザインは頻繁に変えている印象がある。
内容が変わらないのに表紙だけ変えても意味がないだろうと思うが、それは参考書を売るための戦略だろう
電験三種の試験問題は年々新しい内容が取り入れられているので、
やはり、最近の試験に沿った内容にしなければ生き残ってはいけないだろう。
電験第3種 ニューこれだけシリーズ
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
これだけシリーズも「ニューこれだけシリーズ」と名称を変えて新たに生まれ変わった(?)ようだ。
表紙デザインはあまり変わらないが、表紙は以前よりきれいになり、スッキリした印象だ。
重要なのはその内容だが、基本的なところは以前とあまり変わらない。
これだけシリーズは2色刷りで、「誰でもわかる」や「みんなが欲しかった」と見比べると古臭さが否めない。
しかし、電気初心者にとっては多少わかりやすい解説が新たに加えられている。
例題はそこそこ量があって合格点だが、残念ながら例題の解説は詳しくない。
ページ数の関係で仕方がないのだろうか。
以前の「これだけシリーズ」では、いきなり知らない用語が登場して、それについて何の説明もなく淡々と解説が進められていたが、それらについても 新たに説明が加えられている。
内容はそれほど変わらないが、以前に比べると多少電気初心者に寄り添った作りになっている。
もともと電気科卒レベルの人を意識したつくりなので、基本的な難しさは変わらないが、若干理解しやすくなったという印象がある。
やはり、中級者以上に向けて書かれた参考書なので、中級者以上の者におすすめできる電験参考書だ。
完全マスター
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
受験者の間では「完マス」の愛称で親しまれている老舗的電験参考書。
この参考書は「これだけシリーズ」よりもさらにレベルが高く、電気科卒レベルの人を対象に作られている。
内容も高度だが、かなり詳しく書かれていて、電気や機器の理屈や仕組みを詳しく知り人にとっては満足できる内容になっている。
ただ、私が思うには科目ごとの差が大きい。
これは科目ごとに著者が違うのが原因だ。
私的には、完全マスターの「電力」はおすすめできる。色々と詳しい説明が載っていて、とても参考になる。
しかし、残念ながら「機械」は、あまりおすすめできない。
機械科目こそ最も説明や解説が必要とされる科目だと思うのだが、説明・解説が少ない。
機械科目のせいで「完マスシリーズは難しい」とイメージを悪くしている感がある。
この点が改善されることに期待して、さらにおすすめできる参考書になってほしい。
電験三種なるほどシリーズ
お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
2018年出版の電験参考書。
「電験三種なるほどシリーズ」は新しく出版されたものなので、最近の試験傾向に沿った内容になっている。
ある程度わかりやすい作りになっているが、これ一冊で全ての内容を理解するのは難しいと思う。
足りない部分は、他の参考書で補う必要があるだろう。
詳しく説明しようという意気込みは感じられるが、難しい言葉が使われていたり、論文的な説明になっていたりと初心者に向けた説明にはなっていない。
やはり、偉い先生が初心者にわかりやすく説明することは難しいようだ。
キャラクターを登場させて、親しみやすさを演出しているが、本文は小さい文字でびっしりと埋められていて、また難しい言葉も説明が足りずにわかりにくい。
キャラクター同士の会話をところどころに入れて、初学者に向けた本のようになっているが、実際には中級者レベルの本だ。
この本の冒頭にも「二種を目標とする人の参考書としても役に立つ」ということが書かれているので、やはりレベルが高いのかもしれない。
電験三種なるほどシリーズまとめ
新しく出版された電験参考書なので、最近の試験に沿った内容になっている。
内容はやや高度で、二種を目標とする人の参考書としても役に立つ。
キャラクターを挿入して初心者も取り込もうと努力しているが、本当の電気初心者が購入したら苦労するだろう。
やや中級者向けの内容と言える。
電験三種 参考書ランキング
最後に、初心者・独学者にとって役に立つ電験参考書ランキングを発表しておく
お薦め度 ★★★★★★★★★☆
お薦め度 ★★★★★★★★☆☆
このランキングは、初心者・初学者に向けたものだということを理解しておいて欲しい。
また、あくまでも私個人の意見なので、他のサイトの意見も参考にしてみると良いだろう。
選んだ参考書によって合格までの道のりは大きく変わる。
もし購入した参考書が自分に合わないと思ったら、さっさと見切りをつけて、他の参考書を購入したほうがいい場合もある。