電験三種 (第三種電気主任技術者試験) の参考書 (テキスト) の紹介
電験受験者は、どのような勉強方法を選ぶのがいいのだろうか?
勉強方法としては、「通信教育を申し込む」「通学講座を受ける」「電験参考書を購入して独学で勉強する」
主にこの三つの方法が考えられる。
電気科を卒業したような中級者や上級者は、参考書を購入して独学で合格を目指すだろうが、初級者が独学で勉強するというのは少しハードルが高い。
とはいえ通信教育や通学講座は金額的に高いので、あまり金はかけられないという人は独学で合格を目指すことになるだろう。
しかし、金をかけずに勉強するつもりが、参考書選びに失敗して何冊も購入していては逆に高くなってしまう。
そうならないためには自分に合った参考書を選ぶことが重要になる。
参考書選びによって合否が左右されると言っても過言ではない。
したがって自分に合った参考書を選ぶことは最も大切なことだと言えるだろう。
電験の参考書は、初級者向きから上級者向きのものまで、いろいろなものがあるので、よく見極めて購入する必要がある。
しかし初学者にとっては、書店で内容を見比べても、どれがいいのか甲乙つけがたい。
初学者が最初から、中級者や上級者向きのものを買ってしまうと、理解できずに挫折してしまうこともある。
そうならないよう、いくつかの参考書について書評を書いてみた。
評価 と お薦め度も記しておくので、参考書選びの参考にしていただきたい。
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目次
- 電験三種 徹底解説テキスト
- 誰でもわかる電験参考書シリーズ
- 電験3種 これだけシリーズ
- 電験三種 やさしく学ぶシリーズ
- 完全マスター 電験三種受験テキスト(完マス)
- みんなが欲しかった電験三種 教科書&問題集
- 電験三種なるほどシリーズ
- 総評
- 4科目1冊の電験参考書の実力は?
電験三種 徹底解説テキスト
初級者~上級者 向き
お薦め度 ★★★★☆
● 評価(レビュー)
内容もわかりやすく、詳しい説明がされていて、標準的な電験参考書といえる。
公式の覚え方に、語呂合わせとユニークな図が載っているところはなかなか面白い、
ただ、公式語呂合わせは使えるものもあるが、首を傾げたくなるようなものもある。しかし、他の参考書にはあまりない工夫なので、その点は評価できる。
例題は、かなり易しいものが多いので、例題でつまずくことはないだろう、
しかし、この参考書の例題が解けたからといっても、試験では通用しないレベルだ。
ただ、これも古くからある参考書なので、やや古臭い点は否めないが、優秀な参考書の一冊といえるだろう。
誰でもわかる電験参考書シリーズ
初級者~中級者 向き
お薦め度 ★★★★★
● 評価(レビュー)
他の参考書は、基礎学力がある人に対して書かれているものが多いが、この参考書は、あくまでも電気初学者をターゲットした内容になっている。
そのため電気知識が乏しい人が読んでも、意味がわからずに立ち止まってしまうこともなく、難なく理解できる。
その分、電気の基礎学力がある人にとっては説明がくどい部分もあるかもしれないが、電気基礎を再確認するためには良い。
ただ、この参考書は電子書籍 (ダウンロード版とCD-ROM版) しか販売されていない。
そのため、一般的な書籍の参考書に慣れた人には少し使いづらい印象を受けるが、どうしても電子書籍が嫌だという人は、プリントアウトして使用すればその点は解決できる。
タブレット等が1台あれば全て収まるので、重い参考書を持ち運ぶことを考えたら逆にいいのかもしれない。
電子書籍ではあるが、説明が詳しく内容がわかりやすいので、独学で合格を目指す人にお薦めできる。
昔から販売されている参考書とは違い、近年の試験問題に沿っている点も良い。
説明文にも書かれているが、他の参考書で挫折した人や電気初心者の人にも薦められる一冊だ。
電験3種 これだけシリーズ
そのため内容が古臭い感じは否めない。
現在出版されているものは、2012,2013年頃に改定されたものだが、
発売当初の内容はそのまま残っているので、
最新の試験の内容に沿った勉強をしたいという人には、あまりお薦めできない。
タイトルにある「これだけ」の意味は、「これだけ(この参考書)で合格できる」
という意味なのか、「たったこれだけの内容しかないが、これだけで十分」という意味なのかはわからないが、
これ参考書だけで独学で合格できる人は、そうとう基礎学力のある人であろう。
高校の電気科卒業レベルの人ならば、これだけで十分合格できるかも知れないが、
電気の基礎知識の少ないものにとっては、難しいだろう。
中級者レベルの人にはお薦めかもしれないが、初学者にはお勧めできない。
とは言え、とてもわかりやすい部分も結構ある。
しかし残念なことに、わかりにくい部分も多くある。
改定を重ねて、わかりやすい部分がもっと増えることを期待したい。
このようなシリーズものは、4冊とも作者が同じなのかというと、実は違う。
一冊ごとに著者が違うこともあるので「理論」が気に入ったからといって他の科目も気に入るかと思うと、意外とそうでもなかったりする。
なので、一冊ごとに内容を吟味してから購入したほうが良い。
電験三種 やさしく学ぶシリーズ
「やさしく学ぶ」とうたってはいるが、初学者が基礎知識なしで理解するには難しい部分もある。表紙に「ゆるキャラ」がデザインされているのは、やさしく学べるという点を強調したい表れだろうか。
とくに「機械」は、特に難しいと言える。
もちろんわかりやすい部分も多くあるが、すべてがわかり易いかと言うとそうでもない。
ただしページ数は少なめなので、量の多さに圧倒されることはないだろう。
逆に言えば、説明があっさりし過ぎていて説明不足に感じるところも多い。
内容が易しいかと言えば、決してやさしくはなく、ただ説明が省略されているだけ、という感じがする。
初級者にとっても、中級者にとっても、これ一冊だけでは不十分な内容と言える。
完全マスター 電験三種受験テキスト(完マス)
とても詳しい説明、解説がされていて、様々な機械の構造などについてわかりやすく書かれている。
しかし、内容については、初級者向けというよりは、中級者向き以上の内容となっている。
初学者であれば、初級用の参考書とこのシリーズを揃えれば、ほぼ十分ではないだろうか。
二種を受験する人にも愛用されるということもあり、三種の範囲を超えて、やや難しい部分もある。
しくみや理屈を詳しく知りたいにとっては、知的好奇心を満たしてくれる内容になっているが、内容が詳しいだけあってページ数は多めになっている。
難点を挙げると「機械」の参考書はやや説明が足りなく不満を感じる。
ただし「電力」の参考書は、説明が詳しくgood!
みんなが欲しかった電験三種 教科書&問題集
初級者~中級者 向き
お薦め度 ★★★★☆
● 評価(レビュー)
資格取得の専門予備校TACの出版部門による参考書。
比較的新しい参考書のため、某参考書のような古臭さは感じない。
今までにない新しい参考書、という印象を受ける。
このような新しい参考書が台頭してくれば、古くからある「偉い先生が執筆したから権威がある」という類の参考書は淘汰されるか、大幅な改訂を余儀なくされるだろう。
フルカラーで見やすく、図も豊富でわかりやすい。
初級~中級者向きと言えるだろう。
また、問題集もセットになっているので、お得である。
ただ、これ一冊だけで大丈夫か?と聞かれると、やや足りない部分もある。
これは、参考書と問題集がセットになったための弊害かもしれない、問題集にページを取られているせいで、参考書のページが少なくなったのではないだろうか。
もしこれだけでは足りないと感じる人は、もっと詳しい参考書も購入する必要がある。
電験三種なるほどシリーズ
このように、なるほどシリーズは「基礎が身についている中級者用」と位置づけられている。
「なるほどシリーズ」は新しいだけあって、電子書籍版が存在する。
電子書籍は、アマゾンkindle と 楽天kobo で販売されていて、本の書籍より電子書籍版のほうが少しだけ安く購入できる。
内容としては可もなく不可もなく、普通な印象を受ける。
細かい点をあげると、余白が少なく、言葉の壁で埋められていて少し読みずらい。
もう少し余白を取って、ゆったりした作りにすれば読みやすくなると思うが、中級者向けなので それでもいいのだろう。
せっかく新しく出版するのだから、他社のようにフルカラーにして見やすくしたほうがいいとも思うが、手間や予算の関係で難しいのかも知れない。
「なるほどシリーズ」をまとめると、普通にわかりやすい参考書という印象で、中級者なら購入してもいいと思える一冊だ。
総評
初学者にお薦めの参考書
初級者にお薦めの参考書
初中級者にお薦めの参考書
中級者以上にお薦めの参考書
上級者は 人に言われなくても自分で参考書を選ぶだろうから、あえてここに書く必要はないと判断し省略する。
ぜひ自分に合った参考書を購入して、参考書を買い直すという無駄をせずに一直線に合格を目指して欲しい。
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4科目1冊の電験参考書の実力は?
電験三種の受験科目は、理論・電力・機械・法規の4科目になるが、
この4科目が1冊にまとまっている参考書も売られている。
この4科目1冊の電験参考書はどうだろうか・・・?
もちろん、4科目1冊参考書のメリットはある。
・4冊購入するよりも価格が安くてすむ
・ページ数が少なく軽いので、持ち運びに便利
・詳しい説明はなく、要点のみのことが多いので、要点整理には向いている
以上のようなメリットが挙げられる。
よく耳にするのは、
「科目別に4冊揃えるよりも、安くあがるので、4科目1冊参考書を購入したが、内容的に足りなくて、結局、科目別の参考書を4冊買い直した・・・。」
というようなことだ。
このようなことになるのなら、最初から科目別参考書を4冊買い揃えるほうがいいだろう。
4科目1冊参考書は、電気初心者や、2種電気工事士レベルの人が購入するものではない。
高校や大学で電気を専攻した人や、ある程度勉強が仕上がっていて、要点整理のために購入するというのが、正しい使い方だ。
電気の知識に自信が無い人は、最初にこれを購入しても、科目別の参考書を購入し直すことになる。
ただ、電験三種の内容を知らないので、どういった内容が出題されるのかということを参考にすると、割り切っている人は購入してもいいだろう。
ただ1つ、「4科目1冊参考書だけで全ては学べない」これだけは言っておく。